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たのちから

たのちから

電子レンジで加熱むら、なぜできる?


奥まで届かぬマイクロ波 エネルギー次第に減少

 今ではほとんどの家庭で使われるようになった電子レンジ。食品を速く温めるのに便利だが、一方で温まり具合にむらができやすい側面も併せ持つ。どうして加温むらができるのだろうか。
 
 電子レンジで食品が温められるのは、庫内に放出される電波の力だ。この電波は、長距離通信などに利用されてきた波長の短いもので、マイクロ波と呼ばれる。このマイクロ波は、プラスになったりマイナスになったりを1秒間に24億5000万回も繰り返し、変身しながら直進する性質がある。
 
 マイクロ波が、電子レンジの庫内に放射されると、中に置いた食品内部にも入っていく。食べ物の中に入ると、マイクロ波は食品中にある電気を帯びた分子と反応し合う。何度も電極が変わるマイクロ波に合わせて、食品中のプラスの分子とマイナスの分子が激しく入り乱れ、分子がかき混ぜられる。この結果、摩擦熱が起きて食品が温まるわけだ。
 
 では、なぜ温め方にむらができるのか。文教大学女子短期大学部(神奈川県茅ケ崎市)の肥後温子教授は「マイクロ波が入っていけるのは、せいぜい食品表面から数センチのところまでだから」と説明する。
 
 ◇◇
 
 マイクロ波は、食品内部に進むに従って、分子運動を起こしながらもやがてエネルギーをなくして消えてしまう。このため厚みがある食品では、マイクロ波が奥深くまで進まない。分子のかき混ぜによる摩擦熱が起きず、表面が温まっても内部は冷たいままになってしまうことがある。
 
 角ばった部分はほかの部分よりも温度が上がりやすいのも、マイクロ波の影響。角の部分は、表面に近く、マイクロ波が突き抜けやすい。食品表面から内部に進むに従ってエネルギーが減少するマイクロ波だが、角の部分は減少しにくく、加温が速く進む。
 
■加温むらになりにくい工夫
 
 加温むらができるのは、食品内部までマイクロ波が届かないためだ。ご飯など、かき回せる物は、処理時間の途中で、温まった部分と冷えている部分をかき混ぜて、奥の部分を表面に出してやる。マイクロ波の届かない部分をなくす。
 
 ジャガイモなどの硬い物は、温まった部分の温度が逃げないように、ラップフィルムで包んだり密封容器に入れたりする。通常の鍋で調理するのと同じように、熱伝導の力を借りるわけだ。これで温まった部分の温度を中に浸透させる。
(日本農業新聞より)


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